衣類や繊維の寿命とクリーニング頻度
もうすぐ衣替えの季節ですがタンスやクローゼットに服が溢れ返っていて
なかなか整理出来ない~とお悩みの方、多いんじゃないでしょうか?
新しい服は欲しいけど、今着ている服も未だ着れるし
捨てるのはもったいない・・・
その気持ち凄く解ります!(笑)
なので今回はクリーニング業界で一般的に考えられている
衣類や繊維の寿命と、おススメするクリーニング頻度について書いていきます。
服を処分する際のご参考にしてください!
ざっくりと繊維のお話
まず最初に、前回の記事にも関連するので簡単に繊維のお話からして行きます。
繊維には天然繊維と化学繊維の2種類があり、
天然繊維は動物繊維と植物繊維の2種類があります。
動物繊維はウール(毛)やカシミア、アルパカ、アンゴラ、キャメル、シルクなど動物の毛等から精製された糸で、
植物繊維は綿、麻、バンブーなど植物から出来た糸を言います。
化学繊維は、ポリエステル、ポリウレタン、レーヨン、キュプラ、アセテート、アクリル、ナイロンなど
化学化合物で出来た糸の事を言います。
それぞれ特徴があり、メリット・デメリットがあるのですが、
基本的には化学繊維の方が丈夫で扱い易いと考えられます。
ポリウレタンの寿命
ただし、ポリウレタンだけは少し注意が必要です。
ポリウレタンは伸縮性があり、ストレッチ性の衣類や、合皮(フェイクレザー)として
使われる事が多い素材なのですが、
基本的に生地が出来てから3年が寿命、とされています。
生地が出来てから、なのでお客様が商品を手にしてからだと1~2年だと考えても良いでしょう。
どんなに高価なブランド服であっても生地の寿命が2倍3倍になる事はありません。
3年程するとポリウレタンは劣化して伸縮性が無くなり、繊維がブツブツ切れてしまいます。
それが原因で裾が伸びたようにだるーんとなったり、
合皮などはベタ付いたり、ボロボロと剥がれたりしてしまいます。
こうなるとクリーニング屋さんでも手が付けられないので
ポリウレタン製品を購入される際は、そういう物なんだ!と理解した上でご購入ください。
※もちろん風合いや性能が寿命で無くなっても服として着れる状態を保つ物もあります。
衣類の使用年数とおすすめクリーニング頻度
では順にいろんな衣類の寿命(使用年数)とおすすめのクリーニング頻度をご紹介して行きます。
①スーツ
お仕事で普段使いされる方も多いと思いますが、
スーツの一般的な使用年数は3年とされています。
素材は基本的にはウールやポリエステルなので丁寧にケアをしてやれば
寿命を延ばす事も難しくはありません。
おすすめのクリーニング頻度は月に1回程度、
夏の汗を良くかく時期はズボンだけでも1~2週間に1度、汗抜き加工も利用して
クリーニングされる方が良いでしょう。
②ワイシャツ・ブラウス
基本的に毎日変えると思いますが、毎日クリーニングに出されるのは経済的では無いと考えます。
なので普段はご家庭で小まめに洗濯し、襟や袖の汚れ具合を見ながら
月に1度程度クリーニングに出されるのが良いかと思います。
ワイシャツの平均使用年数は2年、
ブラウスの平均使用年数は3年、と言われています。
ワイシャツは綿素材かポリエステル素材かで汚れ具合やシワが変わって来ます。
一般的にはポリエステル系の方が汚れ難くシワも付き難いのでアイロン掛けが面倒な方には
ポリエステル系のシャツをオススメ致します。
③紳士ズボン・婦人パンツ・スカート
ズボンやスカートに関しては夏服と冬服で使用年数が変わります。
夏服だと2年、
冬服・合服だと3年~4年、となります。
クリーニング頻度は月に1度程度をオススメしますが、
ズボンやスカートは汚れ易い傾向があるので、
基本的には汚れたら持って行く、という感覚で良いと思います。
④コート・ダウンジャケット
お気に入りのアウターは常に手元にないと不安かもしれませんが、
シーズン中に最低1~2回のクリーニングをオススメ致します。
10月・11月~翌3月・4月まで使い続けると、
かなり汚れが頑固になるので落ち難くなります。
下手をするとシミ抜きが必要になり、余計高く付く事もあります。
コートやダウンの平均使用年数は3~4年とされています。
生地や縫製がしっかりしている事が多いので基本的にはもう少し長く着られると思いますが、
それでも5年くらいを目途に処分を考えられると良いと思います。
⑤セーター・カーディガン
ニット類の平均使用年数は2~3年です。
一般的には天然繊維より化学繊維の方が長持ちする傾向があります。
また、天然繊維は害虫被害を受け易い傾向もあります。
そういった理由で天然繊維の方が寿命は短いと考えて良いでしょう。
オススメクリーニング頻度は月に1度程度ですが、
汗や臭いが気になる場合はその都度すぐにクリーニングをオススメします。
⑥ジャケット・ワンピース
婦人物のジャケットやワンピースは脇の黄ばみが目立って来てクリーニングに出される方が多いように感じます。
しかし、黄ばみが目立つという事はすでに汗が酸化して生地にしみ付いてしまっている状態です。
従ってあまり汚れたように見えなくても月に1度程度はクリーニングしましょう。
その方がより経済的に、綺麗に、長く着続けられると思います。
ジャケット・ワンピースも夏服と合冬服で平均使用年数は違いますが、
夏服は2年~3年、合冬服は4年とされています。
⑦布団・羽毛布団
毎日使うお布団ですが小まめに洗う事は逆に良くありません。
カバーを洗う事で清潔感を保ちつつお布団自体は数か月に1度程度洗うと良いでしょう。
(汗を良くかかれる方はもっと頻繁に洗った方が良いでしょう。)
ただし、お子様がいらっしゃる場合はアレルギーや小児ぜん息の原因となるダニが発生してしまうので
1ヶ月くらいで洗った方が良いかもしれません。
使用期間は掛布団が5年程度、敷布団が3年程度と言われています。
⑧カーテン
カーテンはなかなかクリーニングに出す機会が少ない布製品だと思いますが、
夏は紫外線をたっぷり浴びて、冬は結露でカビだらけ…
更に埃もかぶって、最も悪条件のファブリックかもしれません。
そんなカーテンの平均使用期間は5~8年と言われます。
どんなに高価なカーテンであっても、10年もすれば見た目以上にボロボロな事も多いです。
クリーニングは出来れば年に2~3回はしてもらいたい所ですが、
最低でも年1回はクリーニングしてケアしましょう。
まとめ
他にも種類を上げればキリがありませんがとりあえず代表的な衣類のみピックアップしました。
まとめますと、
・ポリウレタンの寿命は約3年
・スーツなどの衣類の平均使用年数は3年~5年程度
・布団やカーテンなども適切なケアが必要
クリーニングをすれば新品のように綺麗になる、というわけではありませんが、
定期的なクリーニングは衣類を清潔に保ち、虫喰いや繊維の劣化、
変色・退色のリスクをある程度下げる効果があります。
それによって数か月から数年、着られる期間が延びる事が期待出来ます。
ファストファッションが流行する世の中で、クリーニングの価値が問われていますが
なるべく長く綺麗に着続ける=サスティナブルなファッションのためには
クリーニングは必須であると考えています。
皆さまのお力になれるよう今後も精進して参ります(^^)