スラックスのアイロン掛けのポイント

このご時世で毎日スーツを着る機会も減って来たのかもしれませんが、

その分「おうちクリーニング」に挑戦される方も増えたかもしれません。

そこで今回はご自宅でのアイロン掛け、

主にスラックス(ズボン)のアイロン掛けについて

プロと家庭での違いを交えながらご紹介いたします。

 

【スラックスの洗い方】

まずは簡単に洗い方をご紹介。

最近はスーツでも洗濯機洗える物が増えて来ましたが、

基本的にはスーツは家庭洗濯で洗う事を前提に作られていません。

従って素材も毛(ウール)素材の物が多いです。

洗濯表示を確認して毛(ウール)が入っていたら

ウール洗い用の洗剤を使用して、

「手洗い」もしくは「ドライコース」「手洗いコース」などで洗ってください。

それでもシワや型崩れがあるかもしれません。

そこでアイロン掛けが必要になって来ます!!

 

 

【スラックスのアイロン掛け:ポイント①】

アイロンを掛ける前にまず大事なのが干し方です。

水を含んだ状態で雑に干すと余計なシワが出来てアイロン掛けが大変になるので、

しっかり折り目に沿って綺麗に伸ばした状態で干してください。

理想は完全に乾く手前、ちょっと湿っぽい?くらいで取り込むのが理想です。

アイロンの熱で完全に乾くくらいが丁度良いです。

 

が、霧吹きやアイロンの蒸気で水分は補充できるのでそこまで乾き具合を気にする必要はありません。

 

 

 

【スラックスのアイロン掛け:ポイント②】

アイロンは腰回りから掛けて行きます。

基本的にはスチームを当てるだけで伸びるシワはスチームを当てるだけ、

しつこいシワだけアイロンを当てる感じです。

アイロンを当てる時は折り重なりがないようにしっかり伸ばし

(ポケットなどはめくって、生地1枚だけの状態がベスト)

当て布をしてしっかり押さえます。

シワが伸びにくい時は霧吹きなどを使って水分を補充すると伸び易くなります。

一気に広い面を当てようとするのではなく、

細かく箇所を変えながら当てて行くと綺麗に仕上がります。

 

腰回りは丸みのある仕立てがしてあるので平らに掛けると変なシワが出来たりします。

アイロン台の端などを使って丸くアイロン掛けすると綺麗になります。

 

 

【スラックスのアイロン掛け:ポイント③】

次に股下部分ですが、真ん中の折り目(センタークリース)に沿って平らに置き、

前からしっかり当てて行きます(当て布をして)。

滑らすように当てると線がずれて二重線になってしまう事もあるので

アイロンを押してズラす、を繰り返すように当てて行くと二重線防止になります。

膝の裏は特にシワになり易いので必要なら霧吹きで水分を加えて

しっかり押さえます。

 

スチームを使う場合、

スチームは水分補充が目的なので押さえる時はスチームを切って圧力を掛けしっかり押さえましょう。

順番としてはスチーム→圧力の順番です。

※脇の縫い目の部分は縫い返しがあってあまり強く押さえると型が付くので

軽く押さえるようにしてください。

 

 

【スラックスのアイロン掛け:ポイント④】

アイロン掛けが済んだらすぐに水分を抜くために干します。

通常ハンガーに掛けると変なシワが出来てしまうので

スラックスハンガー(クリップ付のハンガー)に裾を上にして吊るすと

自重で伸びてくれるので綺麗に仕上がります。

 

その状態でシワが残っている部分を軽く引っ張りながらスチームを当ててやると

最後の仕上げとなります。

 

 

【プロのスラックスのアイロン掛け】

私たちクリーニング店には腰回り用と股下用のプレス機があり、

パートさんでもボタン1つで綺麗にアイロン掛けが出来ます。

1本仕上げるのに2~3分程です。

ただし、ちょっと油断するとセンタークリースがずれてすぐに二重線になってしまいます。

そこでしっかりした技術のあるお店では職人さんが最終手仕上げをします。

(もしくは最初から職人さんがアイロン1本で仕上げています。)

 

プロは6kg程ある重たいアイロンを使います。

スチームも、ボイラーに繋がっているのでかなりの量のスチームが出ます。

霧吹きも目の細かい特殊な霧吹きを使っている所が多いと思います。

更にアイロン台には丸みのあるスラックス用の馬が付いています。

その上蒸気を吸い取る機能も付いています。

 

これらを駆使して短時間で綺麗に仕上げているのです。

 

 

【スラックスの雑学】

ビジネススーツにはもはや必須とされているセンタークリースですが、

実はアレ、とある執事のミスによって生まれたと言われています。

1880年頃、英国皇太子のエドワード7世の執事が旅行準備の時

間違えて前後に線が入るように畳んで鞄に入れてしまいました。

それまでズボンには前後の折り目は無く、縫い目に沿って畳むのが常識だったのですが、

ファッショニスタの皇太子が「それも面白い」と言ってそのまま履き続けたそうです。

それを見た周りの人たちが、「これが上流階級の着こなし」と倣い

以降前後に折り目のあるセンタークリースが普及しました。

 

センタークリースがある事でスタイリッシュでカッコ良く見える効果があり、

エドワード7世のセンスに脱帽ですね!

 

服の仕様の歴史を見ると、結構面白い物がチラホラあります。

またいずれまとめてご紹介しますね!

 

 

まとめ

スーツは自宅洗いを前提に作られていません。

従って基本的にはクリーニングをオススメします。

また、水洗いで縮んだり型崩れしてしまった物を元に戻す事は出来ません。

従って自己責任でお願い致します。

 

・ポイント①:干す時シワが出来ないように綺麗に伸ばして干す

・ポイント②:腰回りからやる。スチームのみでシワが伸びればスチームのみで良い。

・ポイント③:股下はセンタークリースが二重にならないように注意して仕上げる。

・ポイント④:スラックスハンガーに逆さにして干すと良い

 

ご時世柄、おうちクリーニングをやってみたい方は是非参考にしてみてください!

 

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