家での染み抜き方法と注意点

家で染み抜きしたいけどどうすれば良いか不安…。とお困りではありませんか?
この記事を読めば「家で染み抜きチャレンジしてみようかな!」ときっと思えるようになりますよ!
洗濯しても落ちないシミ…。クリーニングに出すような服でも無いし…。
お困りのようですね!そういった品物はご自身で染み抜きしてみるのも良いかと思います!
実はプロがやっているシミ抜きの9割くらいは、家庭で染み抜き出来るシミなんです!
知識や経験、専用道具などの違いはありますが、それらが活きるのは残りの1割程度。
「失敗して着れなくなったらどうしよ~」と思うような服はプロに任せる方が無難ですが
普段着なら自分でチャレンジしてみると意外と簡単に出来ますよ!
初めての方はコチラの記事もどうぞ!
【家での染み抜き方法:事前準備】

でも染み抜きって難しいんじゃないの?
いえいえ、基本さえ押さえれば結構簡単ですよ!
家庭洗濯で落ちない「シミ」と言ってもいろいろあります。
実は染み抜きするのに一番大事な事は、そのシミの原因となった汚れを特定し
それに見合った方法でアプローチする事なのです。
汚れの分類についてはこちら(『落とし難い汚れの種類』)に詳しく書いているので
良かったらご一読ください!
↓↓こちらの記事↓↓

落とし難い汚れの種類
汚れを種類毎に分類して何故落とし難いのか?を簡単に解説しています。汚れの分類を知れば家庭でのシミ抜きに大変役立つので是非一度お読みください!
あくまで「家庭洗濯で落ちなかったシミ」を想定して解説していくので
そもそも家庭で洗わないようなモノはまずプロにご相談くださいね。
【家での染み抜き方法①:食べこぼし、化粧品などの油性汚れ】

家庭洗濯で落ちない汚れの1つに食べこぼしや化粧品(ファンデーション、口紅)などがあります。
これらは油の性質が強く水を弾いて汚れに洗剤が浸透して行かないので
シミとして残ってしまいます。
油の汚れには油を良く落とす洗剤を使ってやる必要があります!
1.下にタオルを敷いて台所用洗剤を付ける
食べこぼしなら「台所用洗剤」を使ってやるのが有効です。
まず下にタオルを敷いてシミ部分に台所用洗剤を数滴垂らし
数十秒待ってから上から歯ブラシなどでトントン軽く叩きます。
数十秒待つのは洗剤がシミに浸透するのを待つ時間、
上からトントン叩くのは汚れを下のタオルに移すためです。
2.取れなければ酸素系漂白剤で浸け置き
それで取れなければすでに空気中の酸素と化学反応を起こしているので
酸素系漂白剤を使って漂白します。
酸素系漂白剤についてはこちら(『漂白剤の種類』)の記事をご参照ください。
30℃くらいのぬるま湯に適量投入し
良くかき混ぜてから服を浸け込み、約20分程放置します。
浸け置き後は通常洗濯しましょう。
3.台所用洗剤の代用品
台所用洗剤の代用として洗濯用洗剤の原液をそのままシミ部分に付けてもOKです!
濃縮タイプがオススメです。
または、化粧品であればクレンジングオイルや薬局で売られている消毒用エタノールなどでも
油汚れを落とす事が出来ます。
濃縮タイプ洗剤オススメ品
【家での染み抜き方法②:黄ばみ、エリ・脇汗の変色】

家庭洗濯で落ちないシミの代表がこちらの「黄ばみ」「エリ・脇汗の変色」です。
当店でも良くご相談を受けますが、実はほとんどの場合家庭で落とす事が出来ます。
黄ばみや黄色い変色は汚れが酸素と化学反応を起こして酸化しているので
酸素系漂白剤を使ってやるのが有効です!(※塩素系漂白剤と間違わないように注意!!)
また、酸素系漂白剤は割と様々な変色に効くので
洗濯で残ってしまったシミにはとりあえず使ってみると良いでしょう。
1.漂白方法
30℃くらいのぬるま湯に酸素系漂白剤を適量投入して良くかき混ぜる。
品物を浸け込み、約20~30分浸け置きする。
その後は通常洗濯。
2.皮脂・油脂分の除去
エリや袖口、脇などは洗濯した段階で皮脂や油脂分が服に残っている場合があります。
油分が残っていると、漂白剤が効果的に効かないので
先に①の方法で油脂分を取り除いてから漂白すると
より綺麗に仕上がります。
3.粉末タイプと液体タイプ
酸素系漂白剤には粉末タイプと液体タイプの2種類があります。
基本的には粉末タイプの方が効果が高く、液体タイプの方が効果が柔らかめです。
ただし、粉末タイプは色柄物に使えない場合が多いので
使用方法や容量用法をきっちり守って使うようにしてください!
酸素系漂白剤のオススメ品
【家での染み抜き方法③:トマト、うんちなどの色素汚れ】

洗濯しても落ちないシミの中にトマトやうんちなど
色素が原因のシミがあります。
こちらは太陽光の紫外線で色素を破壊して落とす事が出来るので
天気が良い日に外干ししてやると綺麗になります。
1.天気の良い日に外干し
説明するまでもありませんが、洗濯後に良く日が当たる場所に干してやれば
後は太陽光が綺麗にしてくれます。
(※ただし色柄物は全体的な色褪せに繋がる可能性もあるので注意が必要です。)
2.効果的にシミを落とすには…
紫外線で破壊出来るのは色素だけなのでそれ以外の汚れは当然落ちません。
従って色素のみが残っている状態(薄い綺麗な黄色やオレンジ)なら天日干しで綺麗になりますが
明らかに汚れが残っている状態では色素は破壊されません。
その時は①・②の方法を使ってしっかり汚れを落としてから天日干ししてください。
3.紫外線で破壊出来る色素
・カレーの色素・・・クルクミン
・トマト・・・リコピン
・うんちの色素・・・ビリルビン
【家での染み抜き方法④:黒ずみ、スス、泥など】

灰やスス、泥や土、黒ずみなどは不溶性汚れと言って非常に落ち難い汚れの1つです。
基本的に洗剤は、水に汚れを溶かすお手伝いをしてくれるモノなので
水に溶けない固形物(不溶性汚れ)を落とすモノではありません。
こういった不溶性汚れは物理的な刺激によって外にたたき出すしかありません。
外に出易くするためにオススメなのは固形石鹸です!
固形石鹸を練り込む事で汚れが外に押し出されます。
1.乾いた状態で出来るだけ汚れを落とす
まず汚れが服に付いた段階で、水に濡らさず汚れを出来るだけ叩き落とします。
汚れの周りの部分を指パッチンで弾いたり、掃除機で吸うなどしてください。
泥はすでに湿っているので、一度乾かしてから落とすようにしましょう。
2.固形石鹸を練り込む
出来るだけ汚れが落ちたら、35℃~40℃くらいのお湯に浸け繊維をほぐします。
そこに固形石鹸を練り込み汚れが流れやすくします。
しばらく置いてから揉み洗いするように石けん成分を濯ぎ出します。
この時不溶性汚れが一緒に出て行くイメージです。
固形石鹸のオススメ品
3.ご飯粒を使う
実は不溶性汚れを取るのにご飯粒を使う方法もあります。
ご飯粒で汚れを包み込んで一緒に外に洗いだす方法です。
この方法は昔から日本人の間に受け継がれて来ました。
固形石鹸を練り込む前にご飯粒を練り込んで汚れを吸着させ
その後石けんを使って洗い流します。
【家での染み抜き方法:注意点】

話を聞いてると何だか自分で出来るような気がして来たわ!
ちょっと待ってください!実際やる前に注意点もあるので押さえておいてくださいね!
ご自身で染み抜きをする時の注意点をまとめます。
失敗するとプロでも修復が難しい「洗濯事故」に繋がる可能性があるので
染み抜きにチャレンジする前に必ず目を通してください!
1.洗濯表示の確認
通常の洗濯でも同じなのですが洗濯前には必ず「洗濯表示」を確認しましょう!
注意したい点は2つです。
1つ目は「水洗い可能」かどうか。
桶に波線がある「水洗いマーク」が「✕」になっていたらご自身で染み抜き(洗濯も)はオススメしません。
洗濯表示についてはコチラ(『新しい洗濯表示を分かり易く解説』)をご覧ください。
2つ目は「動物繊維」が混紡されていないか?
動物繊維とはウール(毛)、シルク(絹)、カシミア、アンゴラ、モヘアなど、獣毛から作られた繊維で
水洗いやアルカリ(洗剤の性質)に弱いので初心者にはオススメしません。
この2点を確認してOKならある程度強引なシミ抜きをしても大丈夫です!
2.テストしてからシミ抜きしましょう
染み抜きをする時はプロでも必ず目立たない所でテストをしてから行います。
繊維や染料、シミの具合が違えば
全く同じ方法で染み抜きをしても全く違う結果になります。
「ネットに書いてあった方法を試したけど全然取れなかった…」
と言ったレビューは、そういった前提条件が異なっていたからだと思います。
テストの方法は、濃いめの洗剤・酸素系漂白剤を
目立たない部分(脇の縫い合わせのスソの方など)に付けて
白いタオルなどを押し当てます。
色が出たり、風合いが変化したら無理はせずプロに相談するようにしましょう。
3.無理はしない
おしゃれ着や大切にしたい服など、失敗したくない服は
無理せずプロのシミ抜きに依頼する事をオススメ致します。
9割は家庭で出来ると言いましたが、何かあった時の対処などは
やはり知識と経験が豊富なプロの方が安全です!
シミ抜きが上手なお店なら以下のサイト(『京技術修染会』)から検索してお近くのお店へご相談くださいね!
【家での染み抜きが難しいシミ】

最後に家での染み抜きが難しいシミ・汚れについて解説しておきます。
これらは即プロに相談案件です!
下手に手を付けると修復が難しくなるのでなるべく触らずに依頼しましょう!
1.ボールペンのシミ
ボールペンの汚れは、薄い線程度であれば①の油性汚れで落とせる場合もあるのですが
はっきりした濃い線や、洗濯事故でインクが大量に付いたような場合は
④の不溶性汚れの分類になり、綺麗に落とすのが非常に難しい汚れです。
一部ネットにあるように「アルコール消毒液」で落とせる場合もあるのですが、
失敗すると粒子が繊維の奥に入り込んでプロでも取るのが難しい汚れになります。
ボールペンのシミは自分でやらずにプロに相談する事をオススメ致します!
2.エゴマ油・亜麻仁油
ダイエット食材として最近人気になっているエゴマ油や亜麻仁油は
①の油性汚れなのですが、実は「乾性油」と呼ばれる特別な油で
洗濯で落ちない場合は非常に落とし難いシミになります。
これを落とすには家庭用の洗剤・薬品では難しいので
プロに相談する事をオススメ致します!
3.色移り・色落ち
色移りや色落ちは③の色素汚れと同類ですが、
正直家庭で落とすのは非常に難しいでしょう。
すぐにもう一度洗うとか、熱湯に浸け込めば落ちる場合もありますが、
ご自身でされるよりも無理せずプロに相談するのがオススメです!
色が出る品物は分けて洗うようにしましょう!
なるほどね!家で洗わない物やボールペン汚れは無理せずプロに任せて、まずは黄ばみから挑戦してみようかしら…
はい!完璧な理解です!!酸素系漂白剤を上手に使えるようになれば大抵のシミは落とせるようになりますよ!
【まとめ】
今回は「家での染み抜き方法と注意点」についてまとめてみました。
・染み抜きの9割は家庭でも出来る
・汚れの種類を理解してそれに合わせた染み抜きをする
・洗濯表示を確認してテストをしてから行う
・失敗するとプロでも修復不可能になる事もあるので絶対に無理はしない
・染み抜き出来ないモノもあるので注意する
信頼できるお店が近くにあるならまず相談して自分で出来そうならやってみる!くらいの気持ちでいるのが良いと思います。
投稿者プロフィール

- 福屋クリーニング代表取締役
- 1980年生地元出身。クリーニング歴14年。まだまだ若手で日々勉強中!
自学の為にTwitterで毎日 #洗濯 #クリーニング を検索&リプ。合せてクリーニングや家庭洗濯についての情報発信を毎日Twitter・Instagramで1年以上続けています。
5歳娘の父。#テルボン と心が晴れる絵本「キミが泣いていたら」の作者。晴れた日とハワイとミスチル大好き。
【子育てパパママを応援!!】
国家資格クリーニング師/EMオーガニッククリーニング加盟/肌に優しいシャボン玉石けん使用/京技術修染会復元加工師
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