落とし難い汚れの種類
ご家庭でも洗濯をしているとなかなか取れない汚れに出くわすことありますよね?
そんな汚れやシミが当店に持ち込まれるわけですけど、
今回はちょっと汚れについていろいろお伝えしたいと思います。
「汚れ」を理解する事で知恵袋的なシミ抜き方法や
ご家庭でのお洗濯にも役に立てられるんじゃないかな?と思います。
【汚れの要素】
汚れと一言で言っても様々な要素の組み合わせで出来ています。
その組み合わせによって処理の仕方を変えるのですが、
処理方法で大別すると次の5つになります。
①水に溶け易い水溶性の汚れ・・・汗、しょうゆなどのような汚れ
②油に溶け易い油溶性の汚れ・・・皮脂、ファンデーションなどのような汚れ
③熱と時間で固まるタンパク質汚れ・・・デンプン、血液のような汚れ
④色素汚れ・・・インクなどの着色料
⑤水や油に溶けない不溶性の汚れ・・・スス、墨、土埃など
それぞれの汚れが単体で服に付いているなら簡単なんですけど、
これらの汚れがいくつも合わさって付いていると
大変落とし難い汚れとなります。
更に、ここに時間と熱と圧力(擦れ)が加わり
落とし難い汚れが完成します。
【襟汚れ・脇汗黄ばみ】
それでは具体的に『落とし難い汚れ』をいくつか説明して行きます。
家庭で落とし難い汚れの代表格として
「襟汚れ」と「脇汗の黄ばみ」があると思います。
襟汚れと脇汗黄ばみの主な要素は
汗(水溶性汚れ)と皮脂(油溶性汚れ)ですが、
汗や皮脂にはタンパクが含まれていて、
タンパクは熱と時間で固まってしまいます。
ここに、襟や脇は擦れたり蒸れたりする事で、熱と圧力が加わり
落とし難い汚れになるのです。
また、脇汗の黄ばみなどは汗に含まれる色素や
鉄分が時間経過で酸化して
黄ばみとなります。
このように一般的には『襟汚れ・脇汗の黄ばみ』と呼ばれる汚れでも
様々な要素が絡み合って付着している事が解ると思います!
ちなみにこれらを解決するためには、熱や圧力や時間がかかる手前の段階
つまり着たらなるべく早い段階で
洗濯・クリーニングに出す事で、落とし難い汚れになる前に汚れを除去する事です。
【油性ボールペン、クレヨンの汚れ】
次に家庭で落ちない汚れの代表になるのが「油性ボールペン」の汚れではないでしょうか?
油性ボールペンにはその名の通り「油」が使われていますが、
油に包まれる形で墨(インク)=不溶性汚れが付いています。
油分だけ落とそうとするとこの墨が繊維の隙間に入り
プロのシミ抜きでもなかなか落とし難い汚れになってしまいます。
同様にクレヨンには油と色素が使われています。
ボールペン汚れの落とし方で消毒用アルコール(エタノール)や
食器用中性洗剤を使う方法が紹介されていますが、
実際やってみると確かに落ちる物と
滲むけど落ちない物とボールペンの種類によって違います。
上記で書いたように、何らかの処理をして油分が無くなってしまったボールペン汚れは
プロでも落とすのが難しいので、
大切なお洋服なら尚更、自分で手を付ける前にご相談ください!
【ロングスカートの自転車巻き込み汚れ】
この時期多いのが女性の「ロングスカートを自転車に巻き込んでしまった」というご相談です。
自転車の巻き込み汚れには
オイル(油溶性汚れ)、スス(不溶性汚れ)が付いていて
擦れて繊維の奥に入り込んでいる状態です。
ボールペン汚れ同様、油分だけ落としてしまうとなかなか落ち難くなってしまいます。
ある程度の圧力でススを流してやる必要があります。
ご家庭でのシミ抜き方法としては中性洗剤と擦り洗いが有効ですが、
こちらも事前にご相談いただければ、簡単に落ちるモノでしたら無料でシミ抜きさせて頂きます。
【その他の落とし難いシミ】
その他ご家庭では落とし難いシミは以下のような要素の組み合わせです。
①カレー
カレーのシミは油溶性、水溶性、色素が合わさったシミです。
中性洗剤で洗って落ちなかった場合は酸素系漂白剤が有効です。
それでも色素が残ってしまった場合は、天日干しをする事で
紫外線で色素が分解される事があるのでお試しください!
②ワイン
ワインのシミは水溶性、色素(タンニン)のシミです。
タンニンには弱酸性が有効です。
通常洗濯、酸素系漂白剤で試してみて、
落ちない場合クエン酸などの水溶液で落ちる場合があります。
③血液
血液は水溶性とタンパクの汚れです。
血液が付いた場合はなるべく早めに処理する事が肝心です。
付いてすぐなら水だけでも綺麗に落ちます。
ただ、タンパクが含まれるので熱を加えたり、
時間が経過してしまうとかなりしつこいシミになります。
時間が経過してしまったシミには酵素が有効ですが、
酵素入り洗剤を使っても凝固した血液のシミはなかなか取れないので
プロに相談されることをオススメ致します。
④泥汚れ
靴下やズボンの泥汚れは水溶性、不溶性汚れです。
通常洗濯で落ちなかった場合、不溶性の汚れが繊維の奥に入り込んでしまっています。
酸素系漂白剤で薄まる場合もありますが、
基本的には強いもみ洗い、擦り洗い、叩き洗いでしか
落とすことは出来ません。
その他有効な手段として「固形石鹸」を刷り込むことで
繊維の奥の不溶性汚れを外に出し易くする事もあるので是非お試しください。
⑤カビ
ここに来て今までとは全く違う汚れ(?)についてですが、
カビは菌による変色なので有効な処理方法は漂白一択となります。
表面に付いただけのカビなら、通常洗濯で落ちますが、
生地に根が張ったカビの場合は酸素系漂白剤で試して
ダメだったら塩素系漂白剤という流れになりますが、
先日の記事にも書いたように塩素系漂白剤は色素を破壊するので
使用範囲が非常に限られますので注意が必要です。
まとめ
落とし難いシミ・汚れのまとめです。
・汚れは5種類の要素があり、その組み合わせで出来ている
・それぞれの汚れの要素を理解すると家庭でのシミ抜きにも有効
・汚れ付いてしまったら時間・熱・圧力を出来るだけ避ける
ご家庭でのシミ抜きは洗濯表記と洗剤の使用方法をしっかり読んで
より安全な方法からお試しください!
解らない時はいつでもご相談くださいね^^!